編集後記 大保江冬麗
どうも。初めて校正などをやらせていただきました。課題やべぇよ。安請け合いするんじゃなかったぜ、と思っていましたが、担当した作品が素晴らしく、かつ間違いもほぼないようなものでしたので、ささっと終えることが出来ました。やっぱ先輩達は最高だぜ。
どうも。初めて校正などをやらせていただきました。課題やべぇよ。安請け合いするんじゃなかったぜ、と思っていましたが、担当した作品が素晴らしく、かつ間違いもほぼないようなものでしたので、ささっと終えることが出来ました。やっぱ先輩達は最高だぜ。
先月はオンライン上で合評会を行いました。 新入生の方が参加してくれたこともあり、作品の感想や作品への意見、作者への質疑応答などが盛んに行われ、非常に有意義なものになったのではないかと思います。 さて、今回はその合評会にて取り上げた作品「凪の花束」を公開いたします。...
暗い病室。 規則的な電子音。 冷たい血液と押し黙るリノリウム。 カビ臭いカーテンに、 影さえ落とさず。 彼女はもう目覚めない。 チューブで命をつなぎとめて、 その日に流れ着いた。 午前零時のたましい。 桜の葉が風に揺れ、列車が通り過ぎた。薄桃色の花びらがぽつりぽつりと降り、...
立命PENクラブは今回のコロナウィルスによる活動自粛を受け 季刊誌「Libro」春の部を当ホームページにて公開させていただくこととしました。 是非ご一読を。 我々の作品が日々にささやかな楽しみをもたらせたのならば幸いです。
君は、私を馬鹿にしているの? どうして、普通に死ねると 思えるの なぜ、幸せになれると 思っているの 君に普通はやってこないよ 当たり前のことが どうしてわからないの 花が散るようには 井戸が枯れるようには 雪が溶けるようには 死んで土になって 廻っていくようには...
(S E Y , Y O U!! S E K I Y U !?) (S E Y , Y O U!! S E K I Y U !?) や っ と 、会 え た ね ! 僕 の ハ ビ ー バ テ ィ ー 君 の 瞳 は 僕 の ハ ー ト の 火 に 油 君 の 心 に 愛...
私の家がある。正しくは私の家族の家が。二階建ての一軒家。壁は白く、窓はそこかしこにちらほらと取り付けられている。二階の部屋は一階と僅かに歪んでいて、内装は和洋折衷。玄関のドアは黒く、その取っ手は白い。 この家は、まるで僕の心みたいだ。...
回るのはあなたか 私か 軸のない乱れた形 脚立 それは片足のない 人形 右に首を傾げた ワニ 横並びの牙を研ぐ チェーンソー 回るのは刃か 私か 天秤にかけた有象無象 アンバランスな結末 軸のあるアンバランス アンバランスを導く軸 太陽 片足 そのつま先 私か あなたもか...
僕には友人がいない。幼少期から体が弱く、学校はおろか、病院の外へ出たことがほとんどなかった。 クラスに一応の籍は置いてもらえていたが、僕はクラスメイトのどの顔と名前も一致しない。 大抵、こう言うと、「大丈夫、両親が君の味方だよ」と返される。確かに家族の縁は、血縁として深く結...
少しビターなあの子はガトーショコラ、王道キラキラかわいいあの子はショートケーキ、嫉妬深くて重たいあの子はチーズケーキ。そして、頭空っぽのあの子は、エクレア。 女の子は、甘いお菓子に似ている。大事に大事に作られて、ちょっとでも、分量や焼き加減を間違えると大惨事で、そしてとって...
年を取ったと思う。大人になったとも思う。世界のすべてが許せなくて、それを紙にぶつけていた私はもういない。大抵のことは、世の中こんなものかとあきらめ、厭な人とは、ぶつからず距離を取る方法をおぼえた。誰かと直接ぶつかり合うことができない私は、あらゆる理不尽と、紙の上で戦ってきた...
きみは新たなノートを手にとった みんなとの思い出に一旦区切りを付けて はたしてどんな物語を描けるだろうか? 無茶をして周りの人を困らせるかもしれない 限界を知って挫折してしまうかもしれない 大学生活は決して楽しいものだけではないのだと知るだろう...
いくつもの季節が過ぎ、僕は三十歳になった。僕の隣には、珍しくはしゃいでいる美鈴がいる。すっかりめかし込んだ美鈴は五歳の子を持つ母のようには見えない。結婚する前よりも美しくなっていると僕は思う。僕たちの息子は、僕の両親の家に泊まることを楽しみにしているようだったので、今日の夜...
母の奏でるピアノの音色は、わたしにとっての太陽だった。 母が太陽なのではない。母の奏でるピアノの音色が太陽なのだ。 あの音には何かが宿っている。そう思ってしまうような強さがあった。そしてあらゆる所に酔ってしまうような美しい音が散りばめられており、幼かったわたしにはそれが無限...
花といのちと / あすのひかりより、まだ見ぬ君へ。 立つ鳥と、還る女神と、舞降りる春と。 一九九五年の春は、夢現の乖離する季節。 / ―― ◇ ガラス窓を透かす目映い日差しを身に浴びる。その光と共に自分から何かが抜け落ちる気がいつもしている。起き抜けに目をこするたび感じるそ...
蒼生海(あおみ)という土地が、この国の何処かにある。 広大な濃蒼色の山野に四方を囲まれた、一際輝く夕陽と幻想的な祭事を一度に見ることができる場所である。一度のみ観たその景色を、私は今も忘れられない。 私はあの夕景をもう一度観たかった。しかし私がこの土地に訪れたのはただの偶然...
It`s ShowTime 油田溢れる庭“ガーデン”に招待 我は石油王 この地の英雄 民は皆我にひれ伏す この世はeasy つまらないdaily 現れた貴様はcrazy 始まる我らのstory 資産は莫大 砂漠は広大 全ては我のもの 全ては王のもの この手にbig...
体系じみた愛情に、 どんな意味があるかしら そういうあの娘は 今日もまた 揺れる、揺れる ぐらぐらと 足首を藻に絡ませて 赤い金魚とキスをする これが愛かと 思い込み 金魚をつるりと飲み込んだ
河鹿“かじか”は、ずっと山奥に住んでいます。いつも錆びた緑色の着物を纏って、岩の上で川の流れを見ながらボンヤリ歌っています。 たまに通りかかる旅人なんかが、河鹿の歌に嘆息してお金を置いていきます。そのお金を貯めて町に砂糖やら醤油やら買うのですが、道中もずっと河鹿は歌っている...
揺れていた夜の端が 白く浮き上がる 白から朱に染まると 朝が来る オレンジの街頭は同調し 白い蛍光灯は浮いてゆく 鋭く光っていた星は やんわりと溶けてゆく ぬばたまを押し上げて 檳榔子黒の霧を取り払って 襲“かさね”のような 朝が来る