「君は薬」 詩鳴
- ritspen
- 2020年5月1日
- 読了時間: 2分
君は、私を馬鹿にしているの?
どうして、普通に死ねると
思えるの
なぜ、幸せになれると
思っているの
君に普通はやってこないよ
当たり前のことが
どうしてわからないの
花が散るようには
井戸が枯れるようには
雪が溶けるようには
死んで土になって
廻っていくようには
君は終われない
君は、私を馬鹿にしているよ
夢を見ていることが
息をしていることが
そのすべてが
私を嘲笑う全てだ
君が吐く息ごとに
貶められる私は
どうしたらいい
君の心音(ここね)を止めてもいいかな
間違っててもいいの
君がしたような
勝手を私もしてみたい
わがままじゃない
あるがままの
私を取り戻したい
もう随分と
遠くに行ってしまった
わたしを
連れて帰りたい
今じゃなきゃ
間に合わない
きっと
掴めなくなってしまう
消えちゃうよ
さあ
君も私も好きにしようよ
それで、どちらか死ぬなら
仕方がないよ
切り刻んで
さよなら
小さくなっていく
君の代わりに
大きくなっていく
わたし
しょうがなかった
君が君であるために
私は私でいられなかった
私が私であるために
君はいられなかった
君はいらなかった?
悲しかった
君の肉に刃を
差し込むたびに
やわい感触が伝って
戻れないことを悟るごとに
私が元に戻ってく
落っことされた地底から
こんにちは
ごめんなさい
私でいたかった
私がよかった
いたぶりたかったわけでも
不幸を願ったわけでもない
ただ――
わたしが一番すきだった
君の笑みは私の呪いで
君の痛みが私の救いだった
かけがえのないものと
かけがえのあるものを
秤にくべた
卑しいね
許せないよね
だのに
ほら、また、そうやって
無邪気に笑う
君は、私を馬鹿にしているの?
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