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「ペロちゃんキャンディーのイチゴ味はいつも余る」 あさぎ

  • ritspen
  • 2020年12月30日
  • 読了時間: 2分

ペロちゃんキャンディーのイチゴ味はいつも余る

あさぎ

 お菓子入れの中を覗き見る。真っ赤な毒々しい色が四本、居場所を奪い合うようにして収まっている。私はイチゴ味が苦手だ。毒々しい色も苦手だし、イチゴの嫌な部分だけを取り出したような甘さに辟易する。本当は、ブドウかリンゴか、オレンジが食べたかった。どれか一つくらい残しておいてもいいのに、と過去の私を恨む。どうしても甘いものが食べたい欲求と、イチゴ味が食べたくない好き嫌いと、コンビニまで自転車を飛ばす手間を惜しむ怠惰性との勝負の結果、好き嫌いが白旗を挙げた。安っぽいビニールを剥ぎ、キャンディーの先を口に突っ込む。思ったほど悪くはない。ブドウ味には負けるけどね。イチゴ味のキャンディーを食べながら、私は、学生時代の教室を思い出す。二人組組んで、ってあれね。先生は、偶数ってわかってるから、余りものが出ないことは知ってる。けどね、どうしても余っちゃう子っているじゃん。みんなの中の誰と組むかの選択肢に最後まで上がらない子。所在なさげに不安げな子。それで、もう一人の誰とも組めなかった子が、しょうがないなって組んであげる子。別に悪い子じゃないんだよ。好かれる要素がないだけ。選ばれる理由がないだけの話。

キャンディーは、口の中で私の唾液と混ざり合い、舌と歯によって、小さく砕かれていく。うん、イチゴ味も悪くない。もっといいものがあれば選ばれることはないけれどね。消法

法で選んだものがおもしろかったりすることってあるよね。スマホを開きLINEを開けて、

消去法で選んだ私の親友とのトークを開く。彼女を選ばなかった教室のやつらに言ってやりたい。食わず嫌いってもったいないんだよって。

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